みなさんはじめまして。Classi で開発支援部に所属するイノウエと申します。
当社は教育事業を手掛けているため、教育に関心のあるメンバーが集まっており、ジュニアメンバーに対する社内教育にも力を入れています。巷を騒がす感染症の流行により、当社でもリモート勤務体制がはじまったことで個人としては働きやすさが向上したものの、社内教育や他チームとの支援・交流といった面に目を向けると決して良いことばかりではありません。また、以前では盛んに開催されていたウェブ開発者による勉強会コミュニティの縮小傾向も仕方のないこととはいえ無念に感じています。
このような問題意識に対してなにかできることはないかと思い、「プチトーク会」なる社内イベントを企画し、運営してみたところ比較的感触がよく、まずは半年間続けることができました。この記事ではプチトーク会の目的と設計、運用してみた感想について記したいと思います。
目的
- 開発者メンバー同士の交流を促すこと
- リモートワークが中心となった結果、他のチームとの交流の機会が格段に減ったことに対して手を打ちたい
- 以前であれば立ち話や偶発的に発生していた機会を創出する
- 発表の場を提供すること
- コロナ禍で勉強会コミュニティの縮小によりイベントに行きづらくなった
- 打席に立つことで初めて得られる経験もある
- 発表の準備を行うことで自分自身の体験・知識が整理される
- 他者に教えることこそ最高の学習法
- 他者に対して何かを伝えるということは本質的に難しいということを身をもって学ぶ
- 聞き手・受け手としての成長にも繋がる
- コロナ禍で勉強会コミュニティの縮小によりイベントに行きづらくなった
背景と要件
- 自発的に発表・参加するタイプのカジュアル勉強会は既に社内に存在する
- 内容は面白く充実しているが、正直参加率が芳しくない
- 毎回参加する人とまったく参加しない人の二分化
- 挙手制ではうまく行かない?
- 他にも自主的に参加する系の集まりがいくつかあるがメンバーが偏る傾向がある(輪読会など)
- 発表側に事前準備があったり、繁忙期に参加することについて内心チームメンバーに引け目を感じているのでは?
- 内容は面白く充実しているが、正直参加率が芳しくない
- 運営・発表・聴衆の三方の負担をほんとうに最小限にすること
- 私も開発者としての業務のかたわらで運営する必要がある
- 発表者は事前の準備(スライド作りとか)が大変だとやはり負担になる
- 指名制なので特に気を使わないといけない
- 聴衆側も頻度が高いと別の予定と被りやすく負担になる
- 半年に1度ぐらいは何か発表してほしい
- 希望を言えばもっと高頻度だと嬉しいけど、業務の片手間としたらこのくらいがちょうどよさそう
- 開発者メンバーは100名弱なので年間200コマ弱必要
設計
- 開催スケジュール
- 30分枠で隔週開催
- 年52週なので26回開催
- 30分を1人あたり4分として7コマに分割
- 7コマ × 26回 = 年182コマで要件に対応
- 30分枠で隔週開催
- 発表レギュレーション
- 1トークあたり発表3分+質問応答1分で時間厳守(LT大会のドラ方式)
- 最悪3分であれば当日15分ぐらいあればババっと書ける(と思う)
- 時間制約上本当に3分で切らないと間に合わないので容赦なく切る
- 質問は1回のみで質問時間も含め1分以内でバッサリ切る(質問できなかった場合は esa のコメント欄に誘導する)
- 自己紹介禁止
- 経験則で発表慣れしてない人ほど自己紹介に時間を半分以上使ってしまい本題に入れないため
- どうしても入れたければ発表の一番最後にしてもらう
- テーマは完全自由
- 自分で決められない人向けのお題ガチャもある(趣味or技術)
- 私は庭の雑草対策の話をしました
- 発表スライドは esa のプレゼンテーション機能を使う
- Markdown から自動変換で作成されるため華美で複雑なスライドを作れない、作れないということは見た目を気にする必要がないので時短◎
- 制約により内容を簡潔にする必要があるため資料準備の時短◎
- 自然と esa の1記事となるので情報がストック(蓄積)されて、フィードバックにコメント機能が使える
- 1トークあたり発表3分+質問応答1分で時間厳守(LT大会のドラ方式)
- 抽選による指名で発表者を決定する
- 一巡するまで発表者のかぶりがないようにする
実装
- Google カレンダーで最大公約数的に比較的予定が入っていなさそうな30分枠を見極めて隔週30分の繰り返し設定で予定を突っ込んでしまう
- 先に枠を抑えておけば将来的にかぶらなくなっていく
- Google スプレッドシートを作成して先程のカレンダーから生成された日付を突っ込む
- 従業員名簿に適当に序数を振った上でかぶりなし乱数を生成して1開催日あたり7人になるように割り振る
- 運営用の Slack チャンネルを作って次回開催日の発表者にメンションで事前お知らせをする
- 都合が悪ければ当事者に日時の交換を調整してもらう、交換の調整を行うこと自体も交流のひとつになるので運営者はあまり介入しない
- 開催日当日は直前にお知らせ用チャンネルで呼び込みする
- 通話ツールは Google Meet を使い、発表者がそれぞれ資料を画面共有する方式
- 普段は画面共有機能を使わない人もよい練習になる
- タイムキープはスマートフォンのストップウォッチで行う
- ドラ(3分強制終了)の音はいいアイデアがないので私の声(じゃ〜ん)でやっている(恥ずかしい・・・)
結果と感想
運営者は先程の Google スプレッドシートにたまに乱数を生成して埋めるだけでいいので、ほぼ手間なしで半年間運用することができました。(発表者が一巡しました)
オーディエンス参加者も平均全体の7〜8割程度でかなり好調に推移しており、普段話したことがない同僚から思わぬ話が飛び出したりすることで、その後の交流やアクションに繋がっているようで、おおむね期待の通りの成果を出せているかなと思います。
運営者の負担がほとんどかからない(当日の司会業ぐらい)ことから、当社だけでなく他社にも輸出できるフォーマットだと思いましたので、同じような課題感をお持ちの方がいればぜひ参考にしていただけると幸いです。
続けてきた中でのマイナーチェンジとしては、やはり30分7枠だと時間の余裕が本当にないため、(いい質問してるな〜)と思ったタイミングでも強制終了せざるを得ないのがもったいなく感じ、若干時間オーバーしてもよい余地を持たせるために30分6枠にしたり、つい最近入ってきたばかりの新人メンバーを手厚く歓迎したいので質問時間をやや長めにしたりという工夫をしたりしていますが、ここは司会進行者のクセ次第だと思うのでまずはやってみて感触を確かめながら変えていくと良いと思います。
また、コロナ禍が落ち着きを見せてコミュニティで発表する機会が復活した折には、飛び込みでLTを募集されたときなどにこのプチトーク会に向けて準備した内容や資料をそのまま流用することもできるはずなので、当社で自然と働いているうちに将来のチャンスに向けた資産を気づかないうちに蓄積できている、ということもウラの狙いの一つです。なかなか普段から意識的に行うのは難しいと思いますので、そういった側面からもメンバーに対する支援になれば良いと思っています。
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