Classi開発者ブログ

教育プラットフォーム「Classi」を開発・運営するClassi株式会社の開発者ブログです。

新サービスのブランド「tetoru」策定に至るまで

こんにちは。UXデザイン部の原田です。小中学校向けに「tetoru」というプロダクト開発に携わっています。 2022年4月に「tetoru」は正式リリースをいたしました。

corp.classi.jp

今回はこの生まれたてのサービスがどのようなプロセスを経て「tetoru」というネーミングやロゴになったのか、新サービスのブランド策定/開発プロジェクトの経緯を含めてお話をしたいと思います。

そもそも「tetoru」とはどんなサービス?

箇条書きでまとめてみました。

  • tetoruは小中学校の先生と保護者向けの連絡サービスです
  • 弊社 Classiと校務支援システムのEDUCOM社の2社で共同開発しています
  • 学校の先生にはWebサービス、保護者の方にはスマホアプリを提供しています
  • 「学校連絡」「欠席連絡」といった機能があり先生-保護者間の連絡をデジタル上で行うことができます
  • 先生は業務効率の向上、保護者は学校連絡をアプリに集約することができます
  • 煩雑なやりとりの負荷を軽減することができ、子どもの成長を見守る時間と機会の増加につながります

図にするとこのような形です。

tetoru_service

サービスブランドをちゃんとしたいという危機感

そのようなサービスの「tetoru」ですが、約2年前のチーム立ち上げ当初はサービス名称を考える暇もなくプロダクト開発をしてました。 リリース時期が2022年春ということに決まった頃、サービス名称が決まらないまま開発を優先するのは「やばい」と感じました。新しいサービスを世に出すには「なぜこのサービスが必要なのか」「それに賭ける想いや熱意」また「そのサービスが広く浸透した世界観がどうあるべきか」など、新サービスをひとことで表現できるブランドアイデンティ(BI)とビジュアルアイデンティティ(VI)が絶対必要です。

当時のメンバーはプロダクト開発で手一杯な状況で、サービスブランドを策定するリソースは社内にはとてもありませんでした。プロダクトとブランドの両輪がしっかりした状態でリリースするには、リリース時期から逆算で考えて十分に余裕を持ったマイルストーンを引く必要があります。プロダクトが良くても、ブランドが中途半端だと多くの人に知っていただけず機会損失にもつながるし、かといってリソースをブランド策定に割いてプロダクトが疎かになってしまったら本末転倒です。

また、このtetoruというプロダクトは弊社だけではなく、子会社のEDUCOM社との共同開発によるサービスです。ブランドは2社にとって愛着があるものにならなければ本当の意味で強いサービスにはなりません。

とてもじゃないが片手間にやるようなことではない、だって世に放たれたら一生続くものになるんだから! そういった危機感があり、今回は企業や商品などのブランディングのプランニング&クリエイティブを主に手がけるハイライツ株式会社というデザイン会社さまと一緒に新サービスのブランド策定/開発プロジェクトを立ち上げました。

www.highlights.jp

新サービスのブランド策定/開発プロジェクトで創意工夫した点

プロジェクトを立ち上げるにあたり、大きく4つの点を意識しました。

  1. RFPを元にコンペを開催し、お願いしたい会社の選定
  2. 経営層を巻き込んだ関係者インタビューの実施
  3. ネーミングおよびロゴを客観的かつ多角的に評価するシートを作成
  4. 会議中は「全員発話」で相互理解を促す

ここからはそれぞれの項目ごとにご紹介できればと思います。

1.RFPを元にコンペを開催し、お願いしたい会社の選定

これは最初から決めていたのですが、このプロジェクトはコンペを開催し複数の会社の中からパートナー会社を選定しました。私自身ブランド策定に関するプロジェクト知見を持っていなかったため、このブランドを託し、一緒に考えることのできる仲間を探す必要性を感じたからです。

そこで2〜3ヶ月程度かけて調査をしてパートナー候補会社に対し問い合わせを実施。オンラインMTGにて会社のことや事業理解、ケーパビリティや体制面などざっくばらんに対話を行い、一緒にこのプロジェクトをやっていきたいかどうかを判断した上でコンペ参加依頼をしました。 またコンペ開催に際しRFP(提案依頼書)もイチから作成しました。

前職はクライアントワークを主体としてましたので、しっかりと練られたRFPがあるだけでもパートナー会社さまの提案がよりシャープになるという経験則があったからです。書面として文書化することによって、メンバー内でも共通見解を整理することもでき、発注-請負間で言った言わないの水掛け論にもつながりづらくなるのでこの作業はプロジェクト開始前からしっかり準備をしててよかったなぁと思います。

提案内容のプレゼンテーションにはプロジェクトメンバー全員が参加、採点とコメントを記入し「どの会社、どの人と一緒に新サービスのブランドを考えたいか」といったところを基準に最終的には全員が納得できる会社を選定していました。

2.経営層を巻き込んだ関係者インタビューの実施

社内には定性面/定量面のユーザーリサーチ資料がありましたが、それらを踏まえつつさまざまな役職/職能のメンバー12名の関係者にデプスインタビューを実施しました。インタビュー対象者は弊社とEDUCOM社の2社からそれぞれ選出。経営層/事業責任者から始まり、営業やCS、PdM、ディレクター、UXデザイナー、エンジニアなど全方位をカバー。インタビュアーも教育関係に強い方に担当いただき、業界特有の事情も話しやすいように配慮いただきました。

インタビュー内容に関してもそれぞれの会社のことからサービスのこと、関わるヒトのことなど網羅的に話をしました。役職や立場、人によっては同じ新サービスについて話しても見えている景色や世界観のイメージは異なります。それぞれの気持ちをインタビューを通して発散していただき、最終的に印象的だった80程度のキーワードを抽出し集約。このシートは各社の経営層含む12名の気持ちがひとつにまとまっているものであり、この要素をもとに「tetoru」で実現したい世界やコンセプトを立案、方向性を整理してBIおよびVIの策定につなげていきました。

要所要所で進捗を共有していたこともあり、ちゃぶ台返しのような波乱は起こることもなかったです。日々のコミュニケーションはとても大事だなと感じます。

3.ネーミングおよびロゴを客観的かつ多角的に評価するシートを作成

サービスを表すネーミングやロゴって評価するのがすごく難しいです。基準を設けなければ主観的な感覚の評価になりがちで、ある特定の人の意見に流されて全員が納得できずに決まってしまう可能性もあります。そういった事態は絶対に避けたく、客観的に評価できる採点シートを作成しました。

採点シートを作成する際はこちらの記事を参考にしてカスタマイズしました。

takejune.com

参考にネーミングの採点シートを掲載しますが、今回は「単体評価」と「外部要因評価」の2項目に大きく分けて採点をしています。

tetoru_review

単体評価とはそのネーミングそのものの評価、外部要因評価はネーミングにまつわる外部影響になります。ネーミングそのものが良くても、似たような名称が世の中から見てすでにどこかにあると、浸透するのに時間がかかる可能性もあります。そういった異なる視点を持った上で◯なら1点、△なら0.5点、×なら0点の採点を行いスコアリングしました。特に単体評価は人によって意見が分かれることもあるので評価する際も誰かの独断で行うのではなく、各社で分かれて採点を行い、その内容を内部定例にてシェア。対話を行った上で、ひとつの意見としてまとめて最終評価をしています。

このシートがあることでその字面や第一印象だけではなく、音の響きや発音のしやすさ、印象の残りやすさなど五感を意識した評価を行うことができました。また単体評価が良くても外部要因評価で阻害要因があるかどうか(ドメイン名や類似サービスの有無)を事前に確認することができました。

結果として多角的にかつ公平に見極めることができ「tetoru」というネーミングが確定。ロゴも同様の手順で進めました(せっかくなので最終案に決定する前の検証バリエーションをお見せします)。

tetoru_variation
tetoruのロゴバリエーション
tetoru_variation2
アクセントカラーの比較

4.会議中は「全員発話」で相互理解を促す

コロナ禍ということもあり、プロジェクトは完全オンラインで行いました。ここでよく陥りがちなことは主要メンバーしか喋る機会がなく、会議中ひとことも発言しないメンバーがいることです。

このプロジェクトに関しては毎回の定例会議では「顔出し&必ず発言する」ことをマストにしました。とはいえ、発言を強要する訳ではなく、シンプルに思ったことをシェアしてもらうといった側面が大きく、相互理解を促す役割が大きいです。流れを簡単にご紹介します。

  1. パートナー会社から会議の主題の内容を共有いただく(方向性案やロゴ案など)
  2. いただいた内容に対し、PMである自分がまず最初に感想やコメントをシェア
  3. 終わったら、自分以外のプロジェクトメンバーを指名する
  4. 指名された人が同様に感想やコメントをシェア
  5. 以降、全員が喋り終わるまで繰り返し

ここでいう「感想やコメント」は文字通りそのまま感じたことを共有してもらっています。私自身、tetoruのネーミング案の提案をいただいた回では提案の数やバリエーション、ひとつひとつの案に込める想いを聞いて「プロの仕事って本当に凄くて泣きそうになりました」という子どものような感想も会議の場で伝えています(笑)。でもそれでいいのです、だって全員発話の目的は相互理解することなので。

言葉にならないモヤモヤでも、話を聞いて感じたことを素直に言葉にして共有するだけでも誰かの感性を刺激することにもなります。実際、まとまらない状態のまま吐き出すことによって議論が大きく盛り上がることもよくありました。本当の意味での言いたいことを言い合える関係性を構築し、誰かの不満が蓄積しないよう全員の気持ちを尊重した上で和気藹々と進めていました。

対話と検討を重ねて、ついに「tetoru」誕生

こうしたやりとりを経て、新サービスのブランド「tetoru」は誕生しました。 タグラインやステートメントまで私たちの想いが織り込まれ、そのDNAが随所に刻まれております。

tetoru_logo tetoru_statement

「tetoru」という言葉には学校の先生と保護者、また社内の職種や領域を超えて互いが手と手を取り合い、子どもたちの未来につながるサービスになってほしいという願いが込められてます。ロゴの印象的な赤・緑・黄色の3つのアクセントは子ども・先生・保護者を表してます。それらがしなやかにつながり、成長と発見をかなえ、人肌のある、あたたかなサービスを目指しています。

今回のご担当いただいたハイライツ株式会社のみなさまには感謝の気持ちでいっぱいで、このプロジェクトを通して日々の業務に邁進するための「核」が生まれたような気がしてます。それぞれの職能は異なれど、この核のために仕事に打ち込み、何か迷ったり困ったりしたらこのステートメントに立ち返ることのできる指針のようなものになりました。

※ハイライツ株式会社さまのWebサイトでもプロジェクト事例としてご紹介いただいておりますのでぜひご覧ください。

www.highlights.jp

その後のリアクション

プロジェクト関係者は自分たちで検討を重ねたため馴染んでいるのが当たり前のことですが、それ以外のメンバーもこの想いを汲み取ってくれているのでブランドの力ってすごいなぁって感じています。

また、リリース後にとある学校さまにインタビューを行った際には「プロダクトのあたたかみを感じる」と答えてくださった方もいて、感謝の気持ちでいっぱいです。 今後もこれに満足することなくtetoruで実現したい世界に向けてプロダクトとコミュニケーションの拡充を、この核を中心に展開していければと思います。

人材募集中です

今回はtetoruが誕生するまでの経緯と工夫したポイントについてご紹介しました。 最後に採用の紹介だけさせてください。 弊社の小中学校事業領域は実現したい未来に対しまだまだ人材が足りておらず、絶賛メンバー募集中です! カジュアル面談から受け付けておりますのでご興味のある方はぜひお問い合わせください。

hrmos.co

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