Classi開発者ブログ

教育プラットフォーム「Classi」を開発・運営するClassi株式会社の開発者ブログです。

高校生にビジュアルシンキングの面白さを伝えたくて意識したこと

はじめまして。Classi株式会社 UXデザイン部でUXデザイナーをしている原田です。

私は2021年3月に北海道旭川東高等学校(以下、旭川東高校)さまにて「描いて思考力を深める『ラクガキ講座』」なる講座の講師を高校生の皆さん向けに開催いたしました。個人的にとても楽しく、充実した時間を過ごすことができたので、今回は私がUXデザイナーとして場の作り方や講師として意識したことをお話します。

講座について

実施した背景と講演レポートはこちらに詳細な内容が掲載されておりますので、ぜひご覧ください。

旭川東高校 「描いて思考力を深める ラクガキ講座」レポート | Classi

意識したことの4項目

振り返ってみると、私はこんなことを意識し実行していました。

1)先生とのヒアリングを通して、やる目的とゴールを明確にする

2)高校生でも気軽に参加しやすいようにハードルを下げる

3)Miroを使ってインタラクティブな仕掛けを用意する

4)偶発性やハプニングを利用し演出する

それぞれどういうことなのかご紹介していきたいと思います。

1)先生とのヒアリングを通して、やる目的とゴールを明確にする

このお話を持ちかけてくださった先生と最初のZoomMTGで「参加いただく生徒にどのようになって欲しいのか」をまず話していただきました。こちらがその当時の一番最初のメモ書きです。

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はじめは拙い内容ですがここに想いが凝縮されています。きっかけは「グラフィックレコーディング(以下、グラレコ)の講座をやりませんか?」というお誘いでしたが、ヒアリングをしてみると必ずしもグラレコをやる必要はありませんでした。そこで実施する目的やゴールイメージを対話し丁寧に解きほぐし、ビジュアルシンキングの考えに触れることで生徒の思考力を深める一助になるという思いでアイデアをお互い出し合い、画面投影でNotionをリアルタイムで編集し下記のように「目的」と「ゴール」を設定しました。

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2)高校生でも気軽に参加しやすいようにハードルを下げる

目的とゴールが定まったので、次は教室内に掲示する告知チラシの作成になります。

今回の講座は希望者制のため、生徒の皆さんにとって興味のある内容でなければ参加いただくことは到底できません。ソレはコワイ。なので、なるべく多くの方に関心を持っていただけるような工夫をする必要がありました。掲載内容を色々考えてみて、実際に掲示されたチラシがこちらです。

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ここで工夫したのは「自分でも大丈夫という意識」と「近所のねえさん感を出す」ということでした。私は学生とも先生とも異なる立場ですが、そういう立場だからこそ学べることがある!と思い気さくな感じを随所に散りばめてみました。その甲斐もあったのか(?)、当日は55名の参加があり、具体的にはこういう箇所で参加ハードルをさげる工夫ができていたかなぁと思います。

  • 講演タイトル「ラクガキ講座」のライトでキャッチーな参加しやすさ
  • はじめてスケッチノートした全然うまくない作品を掲載しておく
  • ノートの記録も掲載し、授業でも役立つかも?の意識づけ
  • 講師紹介の文末に講座と関係ない好きな芸人とおやつの話を出す
  • 持ち物に「お気に入りのペン」を指定し、筆箱の中で完結ができるようにしておく

3)Miroを使ってインタラクティブな仕掛けを用意する

当日はZoomを利用したオンライン開催で実施していました。 黒板やホワイトボードを活用した動きのあるスクライビングができないため、資料をすべてMiroで作成し、PCで画面を共有、iPadで手描きで補足するという行為をしていました。

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このように既存の内容に線を引くという行為だけで生徒の皆さんの目を引きますし、なにより私がこのスライドを用いて何を伝えたいのかがより明確になります。異なる場所にいても手描きの線が同期的に出現することによって、この講座の橋渡し的なつなぐ存在になっていたのではないかと個人的には感じます。

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4)偶発性やハプニングを利用し演出する

講座のプログラムはもちろん事前に台本のようなタイムスケジュールを用意し進行をしていきますが、偶然の出会いや、その場で初めて遭遇するようなことをうまく活用すると場そのものが停滞せず活性化していきます。講座自体は私が一方的に話すだけではなく、生徒の皆さんも実際にトレーニングとして色々描いてみてそれをグループ内でシェアをするということをしていました。そこで意識していたのは予定調和で進むのではなくその空間にあるものや突発的に出たワーディングを使い臨機応変に行動し、場そのものに動きをもたせることです。例えば、発表する順番を私の気分でいきなり決めたり(ひどい)、生徒の1人が代表で発表する際も、講師が指名するのではなく目にとまった生徒さんから生徒さんに指名いただくといったことをして、適度な緊張感もありつつも、常にドキドキ、わくわくできるように努めていました。

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まとめ

このような状況下でもあるため、普段なかなか高校生の皆さんと接する機会もなかったのですが 今回のことを通じて私自身が学ぶことが多くあり、旭川東高校のみなさまには感謝の気持ちでいっぱいです。 開催された日は緊急事態宣言中でもあったためオンライン開催にせざるを得なかったのですが、状況が収束したらリアルに対面をしてパワーアップした講座ができたらいいなぁと思います。

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