こんにちは。プロダクト本部プラットフォーム部QAチームの牛木です。
今年度、新卒エンジニアの研修にQAチームによる研修が新たに追加されました。
今回は、その研修を開催した経緯と、実際に開催して感じた効果をお伝えします。
なぜ開催したか
QAチームの活動は、開発エンジニアの活動と深く結びついています。
開発エンジニアとして入社する新卒エンジニアに、QAチームの活動を知ってもらい、「品質」に対する理解を深めてもらうことで、開発プロセスで品質を作り込むことを意識した活動が行えると考えたからです。
開催した研修のカリキュラム
5日間にわたり開催しました。以下が実際のカリキュラムです。
開催の目的である「品質に対する理解を深める」ために2つのアプローチを用意しました。
一、QAの業務を理解する
「QAとは何か」「品質保証とは何か」という基本的なところから、QAチームの業務内容や体制、テスト工程からリリースまでの流れなど、具体的な業務フローを伝えました。
さらに、フリーディスカッションとして、「品質とは何か」「品質で意識することは何か」をテーマに対話を行い、考えを共有しました。
二、テスト項目書を作成する
座学やディスカッションだけでは、時間の経過とともに内容を忘れてしまうことがあるため、実際にQAの業務を体験してもらうためにテスト項目書を作成してもらいました。
流れは以下の通りです。
- テスト項目書の課題を出す
- 新卒エンジニアがテスト項目書を作成する
- レビュー会でQAエンジニアと対面レビューを行う
このサイクルを5日間で4回実施しました。
レビュー会では、レビュワーとしてQAマネージャーとQAエンジニアが参加しました。QAエンジニアには課題を事前に実施してもらい、新卒エンジニアが作成したテスト項目書と、QAエンジニアが作成したテスト項目書を見比べました。
4回の課題に対して、毎回異なるQAエンジニアにテスト項目書を作成・レビュー会に参加してもらいました。
テスト項目書作成の実践は効果的だった
新卒エンジニアからのフィードバックを受けて、実践を通じて私が感じた効果を2つ紹介します。
一、「全く知らない」状態から「なんとなく知っている」状態にできた
テスト項目書を実際に作成してもらう過程で、テストレベル、テストタイプ、テスト技法、テスト観点など、テストに関する基本的な知識を共有できました。
研修期間や構成を考慮すると本質的な部分まで伝えることはできませんでしたが、「全く知らない」状態から「なんとなく知っている」状態にするだけでも大きな進歩だと思っています。
最終日に新卒エンジニアからも以下のコメントをもらっています。
二、QAエンジニアと遜色ないテスト項目ができた
テスト項目書を作成するための基礎知識と、QAチームが使用しているテスト項目書のテンプレートの使い方をレクチャーし、初日から課題を実践してもらいました。初日はサンプルのテスト項目書がなかったので、試行錯誤しながら作成してもらいました。
課題に取り組んでもらう中で、対面の質問タイムも設けて確認を取りながら進めていました。ただし、そこでの回答は軽いアドバイス程度にとどめ、自由に作成してもらうこと、完了しなくても問題ないことを伝えていました。
新卒エンジニアはすでに3ヶ月間のエンジニア研修を受けていたため、どのようにテストを考えるかを知ることも目的の一つでした。
初回のレビュー会では、新卒エンジニアに悩んだ点を共有してもらい、QAエンジニアが作成したテスト項目書と比較しました。異なる箇所や改善点についてQAマネージャとQAエンジニアからアドバイスを受けました。
2回目以降の課題には、1回目のテスト項目書が活かせるように設計し、振り返りをしながら取り組むサイクルを繰り返しました。
最終日のレビュー会では、参加したQAマネージャとQAエンジニアから「新卒エンジニアの作成したテスト項目書が、QAエンジニアと遜色ないテスト項目書になっている」と高く評価されました。
新卒エンジニアに実施した研修実施後アンケートにも、印象に残ったこととしてテスト項目書作成について記載されていました。
新卒エンジニア研修はQAチームにも収穫があった
研修の開催は、チーム施策の効果を実感する機会にもなりました。
QAチームでは、属人的なテスト項目の作成を防ぐために、標準テスト観点やテスト項目書テンプレートを用意しています。
また、テスト項目書が開発エンジニアにもQAエンジニアにもレビューしやすいように、テストの網羅性が明確になるよう、マトリックス表を使ったテスト項目書の作成を推進しています。
今回協力してもらったQAエンジニアは、その方針を意識してテスト項目書を作成しており、新卒エンジニアからも、そして私自身も「見やすく、分かりやすい」と感じました。
誰が見ても直感的に明白であるテスト項目書を作成するという意識がQAチームで浸透していることを再確認できました。
おわりに:開催側として
今回の研修の開催を通じて、私自身特に痛感したのは、「品質」「テスト」の深さや説明の難しさです。自身の知識が汎用的なものであるか、その情報が古くなっていないか、教える立場として常に注意深くあるべきだと感じました。
また、研修を開催することで、チームの施策やQAエンジニアのスキルを再認識し、QAチームとして品質に向き合うことの意義を考える良い機会になりました。
今回得た学びや効果を活かし、来年度はさらにブラッシュアップした研修の開催に取り組みます。