Classi開発者ブログ

教育プラットフォーム「Classi」を開発・運営するClassi株式会社の開発者ブログです。

Classiの教科コンテンツ制作 - 紙教材をデジタルでも -

こんにちは。教材コンテンツディレクターの今井です。

教材コンテンツディレクターとは、一言でいうと「Classiの教科コンテンツの企画・制作」を担当している職種です。今回はその中でも、特に「教科コンテンツの制作」についてご紹介します。

教科コンテンツ制作の流れ

Classiの教科コンテンツ制作は図のような流れで、問題の出題内容や原稿制作は編集プロダクション、システムにコンテンツを搭載する作業はデータ入力会社など、社外とも協業しながらの制作を行っています。社外にも関係者が多いため制作進行管理を丁寧に行う必要がありますし、企画の主旨に沿った出題内容になるように編集プロダクションとはコミュニケーションをしっかり取りながら制作を進めています。

Classiの教科コンテンツ制作の流れ

紙教材をデジタルでも

Classiでは、教材の質を担保するためにも、学校の先生方から長らく評価いただいている既存の教材に掲載されている問題をベースとしたコンテンツ制作も行っています。 とはいえ、紙だから実現しやすいことと、デジタルだから実現しやすいことには違いがあるので、「そのまま乗せ換える」のではなく、紙教材の特徴を踏まえながらデジタル教材に落とし込んでいく必要があります。紙教材では当たり前にできた体験をどのようにデジタル教材に昇華していくか、教材コンテンツディレクターそれぞれがもつ教材制作の知見や教科知識を集結しながら企画ごとに最適な形を模索しています。

企画内容や各教科の特性にあわせて都度検討を行っているので、下記で紹介するのはあくまでも一例ではありますが、教材コンテンツディレクターがどのように教科コンテンツに向き合っているかご紹介します。

今回紹介するのは、義務教育範囲の学習のつまずきが残っている生徒の学び直しのための紙教材をもとに、Classiで制作したデジタル教材(数学)についてです。

学習の流れ

もとの紙教材は以下のような流れで学習を進める教材でした。

  1. 見開きページの冒頭にある学習のポイントを確認
  2. 問題演習の手前に掲載されたヒントや例題で具体的な解法や考え方を確認
  3. 実際に複数の問題に取り組む(このとき、同じページにヒントがあるので、生徒は必要に応じてそちらを確認しながら解答できる)

もとの紙教材の構成

Classiをスマホで利用する生徒さんも多く、紙教材1枚をそのまま1画面に収めるとスクロール量が多くなるため、問題1問あたり1画面になるよう分割して教科コンテンツを制作します。
このとき、ヒント1/問題1-1/問題1-2/……と単純に要素単位で画面を分割してしまうと、もとの紙教材がもつ「学習のつまずきが残っている生徒でも、ヒントを確認しながら問題に解答できる」という特徴を損なうことになります。
そのため本企画では、次の図のように問題内にヒントを掲載したアコーディオン形式のコーナーを新設しました。

ヒントを確認できるコーナーを新設

一方、紙教材では2問目以降の問題も1問目と同様にヒントを見ながら解答できる体験でしたが、少しずつステップアップするような体験を届けたいと考え、デジタル教材では2問目以降はヒントなしで取り組む体験に変更しました。

Classi上での学習の流れ

例えば、数学の「2桁+2桁の加法(足し算)」の学習では、以下のような流れで学習を進めます。

  1. 学習のポイントで2桁+2桁の計算について概要を確認する
  2. 「百の位の繰り上がりがない加法」のヒントを確認しながら問題1-1に取り組む
  3. 「百の位の繰り上がりがない加法」の類題(問題1-2、1-3……)にヒントなしで取り組む
  4. 「百の位の繰り上がりがある加法」のヒントを確認しながら問題2-1に取り組む
  5. 「百の位の繰り上がりがある加法」の類題(問題2-2、2-3……)にヒントなしで取り組む

「2桁+2桁の加法(足し算)」の場合のClassi上での学習の流れ

出題形式・解答形式

学習の流れと同様に、デジタル教材は問題の出題形式や解答形式に紙教材とは異なる制約が出てくる場面があります。
もとの紙教材は、計算過程や答えの数値を教材に直接書き込む記述形式の問題が中心で、グラフ作図問題も一部含まれていました。そのような教材をどのように工夫してデジタル教材に落とし込んでいったのかをご紹介します。

記述問題の場合

スマホ利用の生徒さんでも簡単に解答できるように選択式に改題することが多いです。
この場合、問題文はそのままでも、選択肢(特に誤答の選択肢)を新たに作成することになります。実際の生徒さんが誤った考え方や計算でたどり着く可能性が高そうな誤答を盛り込みつつ、選択肢を作成しています。
画像の例では、「繰り上がりがある加法」の問題なので繰り上がりを忘れている「125」の誤答を用意しています。

繰り上がりを忘れた「125」の誤答を用意

作図を含む問題

紙教材なら、教材上に印刷されたグラフに書き込みながら取り組むことができますが、デジタル教材(特にスマホ利用)では紙のように直接教材上に作図するのは難しくなります。
このような場合、作図を伴う問題は掲載しない判断もあり得ますが、せっかくの学習機会を奪ってしまうことになるので、紙教材に近しい学習機会を提供できないか検討します。

数学のグラフ作図を含む問題では、もとの紙教材ではどのような過程を踏んで正答にいたるのか?に着目することが多いです。
例えば「3x−2y−8=0のグラフをかきなさい。」という問題であれば、

  1. y=ax+bの形に変形する
  2. y切片と傾きの値を把握する
  3. グラフに作図する

の3段階を踏むので、デジタル教材では全体の考え方の流れや問題の難易度を壊しすぎないように、

  1. y=ax+bの形に変形する
  2. y切片と傾きの値を把握する
  3. 選択肢のグラフの中からy切片と傾きが一致するものを選ぶ

のような過程で解けるグラフ選択形式の問題に改題する……といった形で対応しています。
前述の記述問題の場合と同様にこちらも選択問題になるので、1段階目の式変形で正負を誤った場合の誤答を用意しています。

作図を含む問題はグラフ選択形式に改題

さいごに

ここまで義務教育範囲の学習につまずきが残っている生徒向けの学び直しの教科コンテンツ(数学)制作を例に、Classiの教科コンテンツ制作をご紹介しました。実際にこちらのコンテンツに取り組んだ生徒さんからは「解答直前にヒントがあるので自分で考えながら取り組める」「自分でも取り組める難易度でよかった」といったお声もいただきました。「学習に対して苦手意識のある生徒さんにも取り組みやすい」という紙教材の特徴を残しつつデジタル端末でも取り組みやすいコンテンツを作成することができたのではないかと考えています。

企画の主旨や各教科の特徴を考慮しながら、今後も、ご利用いただく学校・先生・生徒のみなさまに寄り添った教科コンテンツを制作・提供していきたいと考えています。

なお、今回ご紹介した教材コンテンツディレクターのメンバーを募集中です。ご興味をもっていただけましたら、気軽にカジュアル面談等お問い合わせください。 https://hrmos.co/pages/classi/jobs/0509

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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